FLOW佐野畳屋の畳が出来るまでの流れをご紹介します。
①生産者さんとの取り組み
1.い草生産地、熊本県八代
畳表の材料のい草が生産されている熊本県は八代。佐野畳屋の畳づくりはここから始まります。毎年数度産地に出向き生産者さん達に土づくりのことい草の性質、見分け方など色々教えて頂きます。ーその中でも夏場の刈り取りは炎天下の中、数日ですがご一緒させていただき、“最高の畳のある暮らし”をお届けするチームとして語らいながら仕事も食事も共に体験させていただいています。
2.熊本県知事賞「優等」
毎年い草刈りを中心にお世話になっている草野さんの畳表、「京の趣」が2017年と2020年に熊本県知事賞「優等」を受賞しました。真っ先に連絡がいただけて、お祝いが出来る関係が本当にありがたくこの絆こそが最高の誉であり最高の強みでもあります。
②ご注文後の流れ
1.見積り・打ち合せ
佐野畳屋が最も大切にしている行程です。一般的には「当店はこれがお勧めで、これが○○円で合計すると○○〇円です。」と、トントンと話が進んでいきますが、佐野畳屋ではどのようなお部屋・環境なのか、今後どのように使いたいのかなど実際の生活シーンをふまえて、”畳のある暮らし”を一緒に考えることから始めます。耐久性に優れた品種、見た目が美しい品種、足ざわりの良い畳床やアクセントにも野暮にもなる畳縁、経年劣化と経年熟成の違いなど、いろんな素材の話を通してお客様の理想の畳を想像していき、技術・仕上げのことをしっかりとお伝えした上で、最後に価格・日程のお打ち合わせとなります。
一見難しく思われるかもしれませんが、ご心配なく。”分かりやすくて楽しい”をモットーに、「い草LOVER
」の店主が柔軟にご対応します。どんなに上質な国産畳であっても、その環境・生活に合わせたものでなければ意味がありません。佐野畳屋は、畳替えをリフォーム等のように人生において一大イベントだと考えます。だから、必ず満足していただけるように、打ち合わせを大切にしています。
2.採寸または引き上げ
①で佐野畳屋に決めていただいた場合、日程を決め、新床(新しく畳を作る作業)の場合は部屋の採寸を行います。表替え(今ある畳で畳表と畳縁を替える作業)また裏返し(今ある畳で既存の畳表を裏返し畳縁だけ交換する作業)の場合は、あらかじめ隙間を見ながら引き上げます。ともにこの時、普段できないところの、畳の下、タンスの裏などを掃いたり、掃除機をかけていきます。
3.床作り
採寸した寸法に合わせ、畳床を裁断、また寸だし(隙間を埋める作業)を行い、角や縁下(畳縁がついてた部分)など、下がっているところなどに稲藁やい草などを縫い付けしっかり補修、補填していきます。どんなに良い畳でも芯になる部材”畳床”が悪いと、しっかり敷きこむことはできません。また、どんなに良い素材でも畳床が悪いとしっかりした畳にはなりません。どんなものでも生活の中では見えないところ、土台作りを大切に床作りを行っています。
4.框縫い
床作りを行うといよいよ畳表を縫い付けていきます。時と場合により色んな工法がありますが、一般的に框(畳縁がつかない方)から縫い付けていきます。この時、畳の線の流れ、専門用語でいうと、い筋(一本一本のい草の流れ)に気を付けながら、しわが入らぬよう丁寧に引っ張り縫い付けていきます。
5.框を縫い付けた後、幅落とし作業
大包丁や機械などで上前と呼ばれる方から切り落としていきます。一般的に上前は部屋の中央に向かって敷かれますが、茶室や床の間がある場合は少し上前の位置が変わる場合もあります。
6.平刺し縫い
幅落としが終わると、畳縁を着けていきます。縁付けには平刺し縫い、角止め、返し縫いの全3工程があります。
7.角止め
最近は9割以上の畳屋が角をタッカー(大きいホッチキス)で止めますが、うちはしっかり縫い付けます。効率的には2
倍以上の時間がかかり、敷きこむと見えない部分となりますが、耐久性や仕上がりに少しだけ違いが出ます。畳への敬意を込め、これからも糸止めでしっかり縫っていきたいと考えております。
8.返し縫い
縁付け最後の作業です。しっかり緩まないように縫い付けていきます。
9.仕上げ
要らない糸は切り、針穴などには霧吹きをし、繊維の少ない布で拭きあげて完了です。お客様の所に届くまでしっかり紙などで養生し、保管します。
10.配達・敷き込み
畳を納める作業です。畳を傷つけないように丁寧に敷き込み、高さを合わせ、再度拭きあげ完了です!!
③畳を未来に誇る取り組み(リサイクル)
1.古畳処理について
佐野畳屋では役割を終えて帰ってきた古畳を解体・分別し、素材ごとに適した方法で再利用しています
”つくる責任””つかう責任”そして未来へと”つなぐ責任”があると自負しています
2.稲藁の再利用
自家製コンポストで堆肥化に挑戦中。また畑のマルチとして利用
3.畳表の再利用
まだ使えるものは農作物の敷物にしたり、子供たちのトレジャシートとして保育園に寄付したりします。古いものは自家製コンポストで堆肥化に挑戦中です。
4.畳ヘリの再利用
農作物を縛る紐として使ったり、台風時の転倒防止の紐、足場をつなげる紐として再利用されています。
5.繊維糸の再利用
現在受け入れ先を探しています。
6.建材ボードの再利用
薪ストーブや、陶芸窯の着火剤として利用できないか試験中。
受け入れ先を探しています
7.フォーム材の再利用
一部断熱材として再利用
リサイクル袋に入れ、生産メーカーに引き取っていただき、再利用されています。