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受け継がれるべき葛藤

[2015年10月24日 06時34分]

 

い草が受け継がれるべきものか?なんて僕は知らない。

ただ受け継がれて行って欲しい。

そう思い行動するのみ。

 

先日い草産地八代を訪れました。

それは、僕の大好きな生産者さんに会いに、

そして今年から(来年織りあがる分から)田んぼ一反(約300畳分)を契約し

、織ってもらうことになったのでそれに際するご挨拶と、インタビューに伺ったのでした。

それに関しては今回は書きません。着々とホームページやらに反映させて見てもらいますので乞うご期待!!

年内には作り上げます!!!

 

とまあ、産地に行ったキッカケはそうだったのですが、

その時空いた時間を利用して田んぼに連れて行ってもらい

新品種のこと、僕が好きな品種のこと、苗の時期のこと、色々教えていただきました。

 

い草はいつも力強くそこにある

い草はいつも力強くそこにある

 

その時に一軒の農家さんに連れて行ってもらったのですが、

その方がまた素敵な畳表を織る方で、年は60台半ば、もういかにも職人って感じでぶっきらぼう。

「仕上げなんかする表は織らん!!見るだけタイ見るだけ。

織るときに気を付ければ仕上げなんかいらん!!!」

 

第一声はそんな感じでした。

 

僕の好きな生産者さんは大体そう言います。

仕上げする時点でもういかん。良い草で良い織り方すれば仕上げなんかいらんったい!!って。

 

非常においしい柿や梨などごちそうになりながら、昔の話もしてくれました。

 

「昔はここらへん全部い草やったったたい。」

 

「聞きました。」

 

「さみしかなー。本当さみしか。」

 

「僕もさみしいです。」

 

「隣も辞めたんはいつやったかなー。去年くらいまで頑張っとったったい」

 

「そうなんですか。」「さみしかなー。本当さみしか。」

 

そして

 

「良かもんなのになー」って。

 

 

 

本当良かもんなんです。い草って。

本当に最高なんですい草って。

それが時代の流れか、畳屋のせいで20%くらいしか良さが伝わっておらず、色んな波に潰されようとしている。

良いもんならなくならんでしょ?って思う方もいると思います。

でも天才って死んで何年もしてからフィーチャーされるんです。実はあいつは凄かったって!

 

い草ってやっぱいいよねって絶対なる時代はくる。

色々畳素材あったけどやっぱりい草だよねーって時代はくる。

少し来てる感もある。

 

でもね。

その時もう無くなってたら、

昔の産物になってる可能性は大いにあるんです。

あの60代半ばのベテランさんが終わりを決意したように言った

 

「さみしかなー」

 

は僕の心にグサッと刺さったんだ。

 

出来れば跡を継がせたい。

ただ息子に、娘婿にこんな苦労はさせたくない。

 

そうやって遠くに就職していく子供たちを生産者さんはどういう目で見つめ、

そしてい草を離れていく人、い草に残ってくれる人。

そうやった葛藤の中で産地はうごめいてる。

高校卒業時からあるいは中学卒業時から、携わってきた仕事にそっと別れを告げる。

秋の夕陽に染められたい草はどこか寂し気な気がしたんです。

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誰しも、僕にもいずれは訪れる引退。

跡継ぎがいる、いないにせよ僕らが守ってきた産業がもっと活気がある時に笑って引退したいな。

すごく贅沢なことでしょうけど。

 

「本当に良かもんですから、い草は。」

 

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あのベテラン織り師さんの魂。伝わっててほしい。そしてまた良い表を作り続けてほしい。

 

思い出すと熱くなってしまう。

今日も頑張ろう。

 

ほっこりしよーぜ

 

 

 

 

おしまい

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